幕張新都心カジノに限らず、アジアではカジノが成功するには中国人裕福層をどう取り込むかにかかってるとされてます。「IR導入可能性調査報告書」ではこうしたことの考察はありません。千葉市近隣に来る外国人は一律全員が1.38回カジノにくると計算違いの推計をしています。脳天気、お気楽なものです。市は「一定の条件設定」だから良いとしてます。詳細はこちらです。
ここでは真面目(?)に考察してみます。カジノ推進派はアジアで成功した代表例はマカオ、シンガポールとしてます。幕張新都心カジノでもシンガポールにある2つのカジノの一方のマリーナベイ・サンズを参考にしています。
しかし、マカオのカジノは2015.2月にマカオ、2月のカジノ収入は前年同期比49%減、関連記事は中国で「反腐敗」VIP客激減
一方、シンガポールではシンガポール、カジノ不振 中国人客減で売り上げ減少とあります。
シンガポールはカジノ産業が不振に陥っている。主要顧客だった中国人旅行者が減少し、シンガポールの2大観光スポットである統合型リゾート「マリーナベイ・サンズ」と「リゾート・ワールド・セントーサ」のカジノ部門の売り上げ低下につながった。現地紙ストレーツ・タイムズなどが報じた。
また、米カジノ大手のラスベガス・サンズも、シンガポールで運営するマリーナベイ・サンズの(2014年)7~9月期の売上高が前年同期比5%減の7億3550万Sドル、うちカジノ部門が同8.7%減の5億7350万Sドルだったと発表しました。
一方「ラスベガス·サンズは、第1四半期2015の結果を報告します」 で売り上げは減少したが利益は微増と発表しました。
マリーナベイ·サンズで シンガポール の調整後EBITDAプロパティ 4.153億ドル 定通貨ベースでは2014年の第一四半期に比べ4.6%の減少、EBITDAは0.2%増加しました。
つまり、マカオ、シンガポール共に減少傾向にあるが、2015年に入りマカオでは激減で、シンガポールのマリーナベイ·サンズは何とか持ちこたえとなります。この違いはどこからくるのか不明でした。そこで全国カジノ賭博設置連絡協議会設立1週年 5.9 シンポジウムで反カジノの第一人者 鳥畑与一静岡大教授 に編集者が直接質問した所では以下のようでした。
[マカオ] マカオにはカジノ客とカジノの間にジャンケット(仲介業者)がいてマネーロンダリをしていた。それを禁じたため激減した。
注 「ジャンケット」はマネーロンダリの温床です。例えば不正(公金横領、脱税等)で得た金は表に出せなく使用できません。そこで、「ジャンケット」は実際には賭けてないのに、カジノで儲けたことにしてやります。日本ではジャンケットの存在はあり得ないでしょう。
[シンガポール]シンガポールではジャンケットは禁じていたのでそれほど落ちなかった。しかし、賭け金をカジノ会社が貸し付けたりしてその未収入金が増加してる。(未収入金は損金処理をしない限り会計上は収入に計上します。こうしたことはそうは続かないでしょう)
また、マカオは事実上中国の一部です。シガポールは中華圏で中国系の人が多数いて中国語が日常的に通用する地の利があります。
こうした、マカオ、シンガポールの事情は別にして日本にカジノを造ったら中国人裕福層は来るのでしょうか?アジア北東部(事実上は韓国・日本)はカジノが少ないので、中国の北東部から期待できるとする考えもあります。しかし、中国は広いとは言え、飛行機で移動する時代に南部も北部もないのでないかと考えてます。また、韓国には外国人専用のカジノが複数存在し、さら巨大なカジノを仁川国際空港、済州島に造る計画が進行中です。日本に周回遅れで造っても期待できるのでしょうか?
カジノに限らず「一極集中の事業」は失敗のリスクが高い。例えば、シャープの液晶テレビ、サムスン電子のスマートフォンがあります。中国人の「爆買」に浮かれてると足元をすくわれます。
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