落札会社も決まれば、どのように業務を進めるかの話し合いが必要です。「報告書の骨格」を決める重要な話し合いのはずです。どうしたのでしょうか。
時系列順に紹介します。
A.仕様書原本
「幕張新都心におけるIR(統合リゾート)導入可能性調査業務委託 仕様書」原本です。
これを、大きく外れることがあれば「入札」のやり直しが必要になります。多少なら「入札額」の変更が必要になりますが、双方の話し合いで変更をしない時もあります。
B.契約書
民間では一般に発注者は「注文書」を受注者は「注文請書」を発行します。「注文請書」は省略されることが多いです。
役所は「契約書」に双方が署名するようです。実際の「委託契約書」はこちらですが、特に本件に特化されたものではなく千葉市が一般的に用いる定型文のようです。第1条の始めだけ引用します。
第1条
発注者及び受注者主は、この約款(契約書を含む、以下同じ)に基づき、設計図書(仕様書、別冊の図面等をいう。以下同じ。)に従い、日本国の法令を遵守し、この契約(この約款及び設計図書を内容とする業務の委託契約をいう。以下同じ。)を履行しなければならない。
C.本市の考え方
「幕張新都心におけるIR(統合リゾート)導入可能性調査業務委託における本市の考え方について」(H260605)
6月16日の調査会社との会議の前に送った文書と思われます。(6月5日)
業務は6月3日から始まってます。
注目すべきは以下です。
導入を前提としたものではありませんのでゼロベースでの検討をお願いします。(幕張新都心への導入は難しいという結論もあり得ると考えてます)
D.業務実施計画書
仕様書原本にある
5.業務実施計画書の作成
契約締結後14日以内に、業務内容、スケジュール、執行体制等を明確
にした業務実施計書に提出し、本市の承諾を得て本業務を行うことと
する。
5.に基づき6月16日の第一回会議に委託会社が市に出したようです。
業務実施計画書提出簿
実は、本文はすでに情報公開されてました。
幕張新都心カジノ調査報告書、作成過程資料を情報公開で入手
しかし、当時は「本文」しかなく、市か、委託会社が作成したものか不明でした。普通は「承認申請図書(図面等)」と呼ばれるもので業務を進めるうえで「決定的」な影響を与えます。
一部を再録します。
カジノ (ゲーミング) – 日本人・外国人/一般客・VIPの4区分で分類し、収入を推計
●日本人・一般客の集客数
=日本人人口×20歳以上の割合
×カジノ訪問割合(国内調査より推計)
×年間訪問平均回数(同上)
×千葉県内でカジノへ訪問する人の割合(同上)
×1人当客単価 (海外事例より設定)
●外国人·一般客
=訪問外国人数
×千葉訪問割合 (国内調査より推計)
×千葉県での滞在日数 (国内調査より推計)
×旅行者のうち、カジノを訪問する割合(海外事例より設定)
×1人1日消費額
●日本人·VIP
=日本人富裕層の保有金融資産
× リスク資産に投資する割合(海外事例より設定)
× 関東エリアのシェア(国内調査より設定)
× VIPゲーミングへの転換率(海外事例より)
●外国人·VIP
=海外富裕層保有金融資產
×リスク資産に投資される割合(海外事例より設定)
× VIPゲーミングへの転換率(海外事例より)
こうしたことが可能と思って応札したうえで、「業務実施計画書」を書いたのかと思うと驚きです。また、情報公開された文書には「業務実施計画書」を市が承認した記録はありませんし、「IR導入可能性調査報告書(案)」と照合した形跡もありません。(6月16日の受付印はあります。)
「仕様書原本」は後日変更されます、「業務実施計画書」もこのとき変更すべきでした。そうすれば、、報告書の「瑕疵」に気が付いたでしょう。
一般に、「お役所は堅い」との印象はありますが、本件に関しては「いい加減」としか言いようがありません。「仕様書」は仕事をする上で決定的なもので、その自覚がないと見受けられます。「B.契約書」第1条にもある通りです。
一般に民間では「承認申請図書(図面等)」が承認されないと仕事は進めません。承認を受けてから必要な資材や部品の発注を始めます。
さらに、「承認申請図書(図面等)」には客が提示した「仕様書」の内容を含めますので「承認申請図書(図面等)」が全てです。
前座の「仕様書」等の検討が済んだら(?)具体的な話し合いになります。ここからは以下に続くことになります。
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